大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡地方裁判所 平成8年(行ウ)10号 判決

福岡市南区屋形原一丁目二八番三二号

原告

株式会社 素鶴園

右代表者代表取締役

鶴田素臣

右訴訟代理人弁護士

小野山裕治

福岡市中央区天神四丁目八番二八号

被告

福岡税務署長 中野良樹

右訴訟代理人弁護士

辻井治

右指定代理人

和多範明

岩本隆志

内野清久

山崎元

森本凡

坪根弘

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一請求の趣旨

一  被告が、原告の平成元年一二月一日から平成二年一一月三〇日までの課税期間(以下「平成二年課税期間」という。)及び同年一二月一日から平成三年一一月三〇日までの課税期間(以下「平成三年課税期間」という。)に係る各消費税につき、平成五年七月九日付けでした各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(ただし、平成二年課税期間の消費税に係る更正処分については平成八年三月二七日付けの裁決により一部取消後のもの)について、納付すべき消費税額が一六七万七八〇〇円(平成二年課税期間分)及び二一九万一五〇〇円(平成三年課税期間分)を超える部分を取り消す。

二  被告が、原告の平成元年一二月一日から平成二年一一月三〇日までの事業年度(以下「平成二年一一月期」という。)の法人税につき、平成五年七月九日付けでした更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分について、所得金額七六七万八七四九円を超える部分を取り消す。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

第二事案の概要

一  本件は、造園工事業を営む原告の平成二年課税期間及び平成三年課税期間に係る消費税並びに平成二年一一月期の法人税を巡る税金事件である。

二  争いのない事実等(証拠によって認定した事実については、末尾に証拠を摘示した。)

1  原告は、造園工事業を営むものであるが、小林造園建設株式会社、株式会社藤吉園芸場、株式会社窪田造園、有限会社原田緑地建設及び三寿造園こと橋本正寿(以下、それぞれ「小林」、「藤吉」、「窪田」、「原田」、「橋本」と略称し、原告を含めて一括するときは単に「六者」という。)とともに、佐藤工業株式会社(以下「佐藤工業」という。)が施工する福岡センチュリーゴルフクラブ建設工事に係る植栽工事ほか(以下「本件植栽工事等」という。)を受注して施工するために、甘木緑化企業体(以下「本件企業体」という。)を結成し、その構成員となっている(ちなみに、平成元年一月八日付作成の甘木緑化企業体協定書第八条に基づく協定書(甲)と題する書面(以下『本件協定書』という。)に原告名が記載されている。)。

右各構成員は、それぞれ均等に一〇五万円を出資しており、したがって、その出資割合は各六分の一である。なお、原告は、本件企業体の会計担当として、総勘定元帳等の作成を行っていた。

2  原告の平成二年課税期間(=平成二年一一月期)及び平成三年課税期間中における本件企業体の損益計算は次のとおり行われ、その都度、構成員全員がこれを承認した。

(一) 平成元年一二月三一日現在の会計報告(以下「平成元年一二月報告」という。)は、平成二年一月二〇日付けで、平成元年一二月三一日現在の貸借対照表及び昭和六四年一月一日から平成元年一二月三一日までの損益収支報告書(会計報告書に記載された名称。以下同じ。)により行われ、各構成員に一八〇〇万円宛を分配したこととされている。

この分配金は、各構成員に、平成元年三月に三〇〇万円、同年八月に五〇〇万円、同年一二月に一〇〇〇万円が各支払われている。

原告は、受領した分配金のうち八〇〇万円を、昭和六三年一二月一日から平成元年一一月三〇日までの課税期間(以下「平成元年課税期間」という。)の消費税の資産の譲渡等(以下「課税売上」という。)に、及び昭和六三年一二月一日から平成元年一一月三〇日までの事業年度(以下「平成元年一一月期」という。)の法人税の所得金額の計算上益金に、それぞれ算入し、その余の一〇〇〇万円を平成二年課税期間の消費税の課税売上に、平成二年一一月期の法人税の益金に、それぞれ算入している。

(二) 平成二年五月三一日現在の会計報告(以下「平成二年五月報告」という。)は、同年七月二六日付けで、同年五月三一日現在の貸借対照財産表(会計報告書に記された名称。以下同じ。)及び平成二年一月一日から平成二年五月三一日までの損益収支報告書(これには、平成元年の一二か月分と平成二年一月一日から同年五月三一日までの通産分の金額が各勘定課目毎に記載されている。)により行われ、各構成員に三〇〇〇万円宛を分配することとされている。

分配金は、平成二年七月に各構成員に支払われ、原告は、右分配金三〇〇〇万円を、平成二年課税期間の消費税の課税売上に、平成二年一一月期の法人税の益金に、それぞれ算入している。

(三) 平成二年一二月三一日現在の会計報告(以下「平成二年一二月報告」という。)は、同日付けで、同日現在の本件企業体の残高試算表により行われ、各構成員に五〇〇万円宛を分配することとされている。

分配金は、同日各構成員に支払われ、原告は、右分配金五〇〇万円を、平成三年課税期間の消費税の課税売上に、平成二年一二月一日から平成三年一一月三〇日までの事業年度(以下「平成三年一一月期」という。)の法人税の益金に、それぞれ算入している。

(四) 平成三年五月三一日現在の会計報告(以下「平成三年五月報告」という。)は、同年七月八日付けで、同年五月三一日現在の貸借対照財産表及び平成二年六月一日から平成三年五月三一日までの損益収支報告書(これには、平成元年一月から平成二年五月三一日までの通年分と同年六月一日から平成三年五月三一日までの通産分が各勘定科目毎に記載されている。)により行われ、各構成員に三〇〇〇万円宛を分配することとされている。

分配金は、同年七月に各構成員に支払われ、原告は、右分配金三〇〇〇万円を、平成三年課税期間の消費税の課税売上に、平成三年一一月期の法人税の益金に、それぞれ算入している。

(五) 平成三年一〇月三一日現在の会計報告(以下「平成三年一〇月報告」という。)は、同年一一月二〇日付けで、本件企業体の同年一〇月三一日現在の残高試算表として作成されたものに基づいて行われ、各構成員に一五〇〇万円宛を分配することとされている。

分配金は、同年一一月に支払われ、原告は、右分配金一五〇〇万円を、平成三年課税期間の消費税の課税売上に、平成三年一一月期の法人税の益金に、それぞれ算入している。

(六) 平成四年一〇月現在の会計報告は、同年一一月二〇日付けで、本件企業体の同年一一月三〇日現在の貸借対照財産表及び同月三〇日までの損益収支報告書に基づいて行われ、各構成員に二五〇〇万円宛を分配することとされている(乙一三)。

3  原告は、平成三年一月一四日、平成二年一一月期の法人税につき、所得金額を七六七万八七四九円、納付すべき税額を二一八万六七〇〇円として確定申告をし、また、平成二年課税期間に係る消費税の確定申告において、課税標準額を二億九四六三万八〇〇〇円、納付すべき税額を一七六万七八二八円として申告した。

4  原告は、平成四年一月二七日、平成三年課税期間に係る消費税の確定申告において、課税標準額を三億六五二五万四〇〇〇円、納付すべき税額を二一九万一五二四円として申告した。

5  被告は、平成五年七月九日付けで、前記3及び4の法人税及び各課税期間の消費税について、次のとおりの各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした(以下、「平成二年一一月期の法人税更正処分」、「平成二年課税期間に係る消費税更正処分」などといい、一括するときは「本件更正処分等」という。)。

(一) 平成二年一一月期の法人税

所得金額 五三二七万九九六六円

納付すべき税額 二一三八万八八〇〇円

過少申告加算税 二七六万八五〇〇円

(二) 平成二年課税期間に係る消費税

課税標準額 一〇億九三六七万四〇〇〇円

納付すべき税額 六五六万二〇〇〇円

過少申告加算税 六三万円

(三) 平成三年課税期間に係る消費税

課税標準額 五億四九三六万八〇〇〇円

納付すべき税額 三二九万六二〇〇円

過少申告加算税 一一万円

6  原告は、平成五年九月一日、前記5の各処分について異議申立てをしたが、被告は同年一二月一日付けでこれを棄却する決定をした。

そこで、原告は、同月二四日、国税不服審判所長に対して審査請求をした。同所長は、平成八年三月二七日付けで、平成二年課税期間に係る消費税更正処分及び過少申告加算税賦課決定の一部を取り消して、

課税標準額 一〇億四六六二万五〇〇〇円

納付すべき税額 六二七万九七〇〇円

過少申告加算税 五八万八〇〇〇円

と変更したほかは、右審査請求をいずれも棄却する裁決をした。

三  原告の法人税、消費税の計算過程及びその根拠についての被告の主張

1  平成二年一一月期の法人税更正処分における同期の法人税の計算過程及びその根拠は次のとおりである。

(一) 所得金額(六一二七万九九六六円)=〈1〉確定申告額+〈2〉本件企業体の平成二年五月報告に基づく利益金につき原告の益金に加算される金額+〈3〉原告の仮受消費税額-〈4〉寄付金の新たな損益算入額

(二) 原告の所得金額は、右(一)のとおり六一二七万九九六六円であるから、これに対する税額は二三六三万一六〇〇円となる。

(三) 同族会社の留保金額に対する特別税率による税額は一一三万〇八〇〇円となる。

右(二)の税額と(三)の税額の合計額二四七六万二四〇〇円から原告が納付した所得税額三万九八八七円を控除した二四七二万二五〇〇円(百円未満の端数切り捨て)が、平成二年一一月期の法人税の納付すべき税額となる。

(以上についての詳細は別紙参照)

右は、平成二年一一月期の法人税更正処分における「納付すべき税額」二一三八万八八〇〇円を上回るが、これは、同更正処分においては、原告が平成二年一一月期の利益金額として益金に計上していた平成元年三月二八日の分配金三〇〇万円及び同年八月四日の分配金五〇〇万円を、同期の益金から控除して所得金額を算定し、原告の所得金額を五三二七万九九六六円と算定したことによるものである。しかし、同更正処分の税額は、あるべき税額の範囲内にあるから、いずれにしても適法である。

2  平成二年課税期間に係る消費税更正処分、平成三年課税期間に係る消費税更正処分(ただし、平成二年課税期間に係る更正処分については裁決)における消費税の計算過程及びその根拠は次のとおりである。

(一) 本件企業体は民法上の組合に該当し、各構成員の出資割合は六分の一であるから、本件企業体の課税売上の六分の一に相当する金額が各構成員に帰属する。したがって、右の金額を原告の消費税に係る課税売上として加算すべきである。

また、本件企業体の課税売上の計上時期については、法人税と同様に介すべきであるから、平成二年課税期間については、平成二年五月報告の累計額から消費税法適用日前の売上金額を減算して計算し、平成三年課税期間については、平成三年一〇月報告の累計額から平成二年五月報告の累計額を減算して計算すべきこととなる。

(二) 平成二年課税期間の消費税の計算

(1) 同期間の課税売上(税込)(〈1〉×一〇〇分の一〇三+〈2〉-〈3〉+〈4〉-〈5〉)

一〇億七八〇二万四三九七円

〈1〉 原告の申告に基づく課税売上高

二億九四六三万八七三四円

〈2〉 本件企業体に係る課税売上(税込)の六分の一

八億二〇三六万三二五五円

平成二年五月報告による造園工事売上高五二億一三八八万九九五三円から、消費税法適用日以前の売上高三億三八七六万五〇〇〇円を控除した上、雑収入一五二万三四五五円、仮受消費税四五五三万一一二六円を加えた合計四九億二二一七万九五三四円の六分の一

〈3〉 原告が本件企業体への課税売上として計上している本件企業体からの分配金の額

四〇〇〇万円

〈4〉 消費税雑収入の課税売上(税込)(原告が法人税の平成二年一一月期の貸借対照表に仮受消費税として記載したもの)

七七九万五〇一六円

〈5〉 内部取引による課税売上(税込)(原告の平成二年課税期間に帰属する本件企業体の計算期間中における、原告の本件企業体に対する課税売上(税込み)八一六七万〇六二三円の六分の一)

一三六一万一七七〇円

(2) 同期間の課税標準額((1)×一〇三分の一〇〇)(千円未満の端数切り捨て)

一〇億四六六二万五〇〇〇円

(3) 簡易課税制度による税額計算((2)×〇・六パーセント)(百円未満の端数切り捨て)

六二七万九七〇〇円

(三) 平成三年課税期間の消費税の計算

(1) 同期間の課税売上(税込)(〈1〉×一〇〇分の一〇三+〈2〉-〈3〉+〈4〉-〈5〉)

五億六五八四万九八一〇円

〈1〉 原告の申告に基づく課税売上高

三億六五二五万四一三二円

〈2〉 本件企業体に係る課税売上(税込)の六分の一

二億三二六三万九四四八円

平成三年一〇月報告の累計額から平成二年五月報告の累計額を控除した造園工事売上高その他の合計額一三億九五八三万六六九二円の六分の一

〈3〉 原告が本件企業体への課税売上として計上している本件企業体からの分配金の額

五〇〇〇万円

〈4〉 消費税雑収入の課税売上(原告が法人税の平成三年一一月期の貸借対照表に仮受消費税として記載したもの)

九八三万八四八五円

〈5〉 内部取引による課税売上(同期間における原告の本件企業体への売上金額一七〇三万九二六八円の六分の一)

二八三万九八七八円

(2) 同期間の課税標準額((1)×一〇三分の一〇〇)(千円未満の端数切り捨て)

五億四九三六万八〇〇〇円

(3) 簡易課税制度による税額計算((2)×〇・六パーセント)(百円未満の端数切り捨て)

三二九万六二〇〇円

四  争点

1  本件企業体の法的性格等

(被告の主張)

(一) 本件企業体は、〈1〉本件協定書に原告ほか五者が署名・押印していること、〈2〉造園建設事業を共同連帯して営むことを目的としていること(本件協定書一条)、〈3〉各構成員が一〇五万円宛均等に出資していること、〈4〉本件植栽工事等は佐藤工業から本件企業体に発注されていること、〈5〉原告が自ら会計を担当して、会計報告を行っていること、〈6〉現実に本件企業体の利益を各構成員に分配していることからして、民法上の組合としての性格を有するものである。

なお、右判断に際しては、本件協定書の各規定(一条、六ないし一〇条、一三ないし一六条)が参照されるべきである。

(二) したがって、その権利義務は基本的に各構成員に直接に帰属するから、本件企業体が行った共同事業に係る損益の分配は各構成員の出資割合(均等の六分の一)に応じて各構成員に帰属するものという前提で行った本件更正処分等は正当な根拠を有する。

(三) 雲仙半水盧新築工事に関する造園工事(以下「雲仙造園工事」という。)における原告の取引に関する課税処理は、本件更正処分等の適否と本来全く無関係である。なお、付言すれば、雲仙造園工事は本件植栽工事等と異なり、本件企業体の構成員全員の共同施工ではなく、藤吉のみの単独工事である。しかるに、原告を含む本件企業体の他の構成員らは、損益とは関係なく同工事の受注総額の六パーセント相当額を受領し、均等に分配しているのである。このように、表面は共同企業体による共同施工の形態をとりつつ、実際には一部構成員のみが施工に当たり、他の構成員は見込利益相当額を名義料的に受け取るのみで何ら工事に関与しないという方式は、ペーパー・ジョイントなどと呼ばれている。この場合に、実態に則した課税処理が行われるのは当然である。

(原告の主張)

(一) 本件企業体の実体は、各構成員が有する工事代金をとりまとめて請求・集金し、各構成員に支払う単なる代金収受計算機構にすぎず、右の代金収受計算と植栽工事後の施肥・剪定等の保守管理の共同施工を業務とするものである。このことは、次のような本件企業体の成立の経緯、各構成員の取引の実態に照らしても、明らかである。

(1) 京都通信機工業(以下「京都通信機」という。)は、昭和六一年ころ、甘木市板屋竹の矢一帯にゴルフ場を建設する目的で山林の買収を始め、買収に応じた農家のうち造園関係者については、その者が売却した土地の造成、植栽工事を請け負わせることとした。

そこで、地元の窪田、橋本らは、そのころより京都通信機から個別に右の工事を請け負っていたが、窪田らは、自己の造園能力に限界があり、工事の完成が困難であるとして、甘木地区造園業協同組合に応援を求めたことから、原告らが協力することとなり、小林、藤吉、原告の三社のほか、平島造園、内山造園緑地等が参加し、総勢十数社で植栽工事等を施工することになった。

(2) 右の工事は、京都通信機から直接各社が請け負っていたが、昭和六三年夏ころ、原告ら請負業者は、土地の買収交渉を世話した豊島某から、「今後は請負業者の一人である藤吉にゴルフ場の造園植栽工事を全部請け負わせ、他の業者は藤吉の下請けになることになった。」旨の通知を受けた。

関係者は、これに強く反発して工事を中断させたため、右の通知は実行されなかったが、その際本件企業体の構成員である六者は、工事保証金を支出し、「甘木緑化企業体」の名称で「引受人組合」を結成し、同組合が組合員以外の業者に対して既工事の未払金を立替払いし、以後組合員以外の業者は、同組合の下請として工事を行うことになった。同企業体の構成員である六者は、従前同様、京都通信機から植栽工事等を請け負い、各社の責任で工事を施工してきたが、京都通信機は、既工事の代金を支払わないばかりか、工事のみを急がせてその後も代金を支払わないため、関係者に不安が広がり、昭和六三年末、再度工事は中断した。

(3) 当時並行して京都通信機から造成工事を請け負っていた佐藤工業は、植栽工事等の中断によって造成工事の遂行に支障が生じるのを危惧し、工事の遅延を解消するため、そのころ、同企業体との間で、〈1〉平成元年三月から佐藤工業が発注者に代わって本件企業体に未払金を仮払し、同年七月からは工事出来高の九〇パーセントを仮払すること、〈2〉本件企業体は、金額を決めないで進めてきた施工済みの植栽工事代金の京都通信機に対する交渉・金額の決定権限を佐藤工業に委ねるとともに、昭和六四年一月から植栽工事を再開すること、を合意した。

(4) 佐藤工業による植栽工事代金代払いの状況は、平成二年四月まで続いたが、この間佐藤工業と本件企業体六者との間には請負契約は一切存在せず、佐藤工業から六者が受注するようになったのは同年五月からであり、以後も六者は、各自の責任で単独で植栽工事等を請け負っていたものである。

(5) 本件協定書は、佐藤工業九州支社の本件企業体に対する仮払金の支払(出金)について、社内経理の明確化のため、同社においてこれを未成工事支出金とする必要があることから、平成二年二月中旬に、作成日付を平成元年一月八日にさかのぼらせて同社が作成し、原告らは、右の説明を受けて署名したもので、形式的なものにすぎない。

(6) 以上のように、本件企業体が昭和六三年夏に成立した後も、本件植栽工事等は、六者が各自単独で施主(京都通信機又は佐藤工業)から受注していたものである。

(二) このような本件企業体の実体に照らせば、原告に対しては、本件植栽工事等につき原告が行った施工取引のみを課税対象にすべきものである。

したがって、本件更正処分等が前提とするところは不当であり、同処分等は、実質課税の原則に反し、ひいては租税負担の公平の原則に反するもので、違法・不当である。

(三) 現に、被告は、本件企業体が佐藤工業から受注した雲仙造園工事に係る消費税の課税売上については、その六分の一に相当する課税売上を各構成員に帰属させる処理をしていない。

2  本件企業体に係る収益計上時期―平成二年五月報告を損益計算の算定基準にすることの当否

(被告の主張)

(一) 各組合員が自己の決算に際して組合に係る損益を正確に自己の決算に反映させるためには、組合から適切な会計資料の提供を受けることが不可欠であるが、組合員全員が法人であったり、組合員中に法人と個人事業者が混在する場合には、組合員により事業年度が異なることがある。このような場合に、組合が事業年度の異なる組合員毎に組合の決算報告を行わなければならないとすると、その事務は煩瑣に耐えない。

(二) そこで、組合のような事業形態においては、当該組合に係る損益の帰属する時期を組合の計算期間の終了する日の属する事業年度とすることとされている。そもそも、法人税法(以下、本判決で引用する法人税法、消費税法等の税法規の条文は、本件更正処分等が対象とした原告の法人税、消費税の各納付義務に係る事実関係当時に施工されていたものを指す。)は、組合に関する損益の計算について特に定めをしておらず、せいぜい同法二二条四項が「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(以下『公正妥当会計処理基準』という。)に従って計算されるものとする。」と規定するにとどまる。法人税基本通達一四―一―一において、「当該組合が毎年一回以上一定の時期に損益の計算をして各組合員に通知している場合には、その会計報告上の益金又は損金を、その計算期間の終了の日の属する事業年度の益金又は損金とする。」とされているのもその趣旨であり、この取扱は公正妥当会計処理基準に適合する。

(三) 本件企業体は、前記二2のとおり、毎年一回以上一定の時期に損益の計算をしている(平成二年五月報告もその一つである。)から、本件企業体の構成員の本件企業体に係る損益は、本件企業体の計算期間の終了の日の属する事業年度の益金又は損金に算入すべきものであり、平成二年五月報告によって損益計算をするのは正当である。

原告自身も、本件企業体から受領した分配金を、本件企業体の計算期間の終了する日の属する事業年度の益金に計上している。また、本件植栽工事等については、それが竣工する都度会計報告及びそれに伴う利益分配がされているから、請負収益の計上時期の面からしても、本件企業体に係る収益計上時期は本件企業体の計算期間の終了する日の属する事業年度となる。

(原告の主張)

(一) 消費税の課税期間は、法人税法に規定する事業年度である(消費税法二条一項一三号)から、原告の消費税の課税期間は原告の事業年度(平成元年一二月一日から平成二年一一月三〇日まで及び同年一二月一日から平成三年一一月三〇日まで)によるべきであるのに、被告は、本件企業体の関係においてはその会計報告(平成二年五月報告及び平成三年一〇月報告)の期間に従って、平成元年一月八日から平成二年五月三一日まで及び平成二年六月一日から平成三年一一月三〇日までとして計算している。これは、原告の事業年度を無視して、単に「事務処理の簡素化に資する観点」からくる便宜的な取扱をしたにすぎず、公正妥当会計処理基準によったものとはいえない。

(二) 平成二年五月報告は、本件企業体の帳簿(総勘定元帳)に基づいて作成された各月の試算表のうち、平成二年五月末の試算表から移記されたものではあるが、同報告書の実体は収支計算書であって、企業会計原則に基づく損益を算出するための損益計算書ではない。また、同報告書は、内容的にも正確ではない(費用及び収益を、その支出及び収益に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てて処理することはされていない。)。すなわち、平成二年五月については、発注者が提出を求めた工事見積書により、造園売上一〇億七三五二万一〇一六円を未収金で計上した上、右売上に対する原価としては五億三六一六万一八〇〇円を計上しているにすぎず、四億七六六九万五〇〇〇円の原価漏れがあって、これは同年六月及び七月に計上処理されているのである。

したがって、このような、損益計算書とはいえない平成二年五月報告を損益計算の算定基準にした本件更正処分等は違法である。

3  消費税の二重課税となるか―本件企業体と構成員との取引に対して消費税を課税することの適否

(被告の主張)

(一) 消費税は、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等(資産の譲渡、貸付け、役務の提供)」に対して課税される(消費税法四条一項、二条一項八号)。

(二) 本件企業体は、佐藤工業から本件植栽工事等を受注し、事業として対価を得て役務の提供を行っているところ、本件企業体は民法上の組合であるから、その構成員である原告は、佐藤工業と本件企業体との取引についてその六分の一に相当する資産の譲渡等を行ったことになる。

(三) 他方、本件企業体の各構成員から本件企業体への植木の売上及び本件植栽工事人夫派遣等については、本件企業体の総勘定元帳には「植木仕入」及び「外注工賃」として計上され、本件企業体の構成員である原告の総勘定元帳には「植木売上」及び「ゴルフ場造園売上」として計上されているから、本件企業体と原告を含む本件企業体の構成員との取引は、売買契約又は本件植栽工事等の請負契約であり、原告は、本件企業体に対し、事業として対価を得て資産の譲渡及び役務の提供を行ったものである。

したがって、佐藤工業と本件企業体との取引及び本件企業体と原告との取引は、いずれも消費税の課税対象となるものである。

(四) なお、本件企業体から原告を含む各構成員が下請受注した場合、本件企業体から下請受注した金額の六分の五が他の構成員五者に対する課税売上となる。

したがって、原告が、本件企業体から下請受注した金額の六分の五を課税売上として計上した場合、原告以外の各構成員五者は、原告が本件企業体から下請受注した金額のそれぞれ六分の一を、控除対象仕入税額の計算上、課税仕入れとすることができる。このため構成員全員の実質的な課税売上に係る消費税額のトータル(各構成員が佐藤工業に対してした取引による課税売上に係る消費税額に、各構成員が他の構成員五者に対してした取引による課税売上に係る消費税額を加算し、各構成員の他の構成員五者からの課税仕入れに係る消費税額を減算した金額)は、佐藤工業から本件企業体に対する受注総額に係る消費税額に一致する。これに対し、原告のように、構成員が簡易課税制度を選択している場合には、各構成員の他の構成員五者からの課税仕入れに係る消費税額は、各構成員が他の構成員五者に対してした取引による課税売上に係る消費税額の八〇パーセント相当額となることから、前記のような等式が成立せず、結果的に本則課税より多い金額の納税義務が生ずるが、これは、簡易課税制度の性格上、当然のことである。

(原告の主張)

(一) 被告は、本件企業体の取引高の六分の一を原告の売上取引と認定し、原告の実際の売上取引額から六分の一を控除した六分の五の取引について再度課税して同一の取引に対し二重の課税を行っている。

また、被告は、本件企業体の課税売上の六分の一に相当する取引から、右の二重課税を行った部分を控除した取引について、取引の実体がないのに原告の行った取引とみなしてこれに課税している。

被告のこのような課税は、租税法律主義に違反し、いずれも違法である。

(二) 被告は、原告の平成二年課税期間の課税売上金額(税込)を一〇億七八〇二万四三九七円と認定しているが、右課税売上金額の算定で、原告の確定申告書記載の税抜課税売上高二億九四六三万八七三四円に仮受消費税七七九万五〇一六円を加算すれば課税売上金額(税込)になるはずであるのに、被告は、消費税込売上金額三億三四七万七八九六円に更に仮受消費税七七九万五〇一六円を加算して二重課税を行っている。

被告は、平成三年課税期間の課税売上金額についても、仮受消費税九八三万八四八五円の処理について同様の誤った処理をしている。

(三) 被告は、平成二年課税売上金額に関し、原告が本件企業体への売上金額として計上した八一六七万〇六二三円の六分の一に当たる一三六一万一七七〇円を原告の内部取引として、原告の売上金額から控除している。しかし、内部取引というのであれば、企業会計原則により、八一六七万〇六二三円の全額を原告の売上金額から控除すべきである。

平成三年課税期間の内部取引による課税売上金額の計算でも同様である。

第三当裁判所の判断

一  争点1(本件企業体の法的性格等)について

被告は、本件企業体が民法上の組合であると主張するのに対し、原告はこれを争うので、以下検討する。

1  第二の二1の事実に証拠(甲一、一七、二四ないし三一、三二の1ないし3、三三の1、2、乙一、三、一六の1ないし24、原告代表者)及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 京都通信機は、昭和六一年ころ、甘木市大字柿原、板屋、屋形原地内にゴルフ場(名称・福岡センチュリーゴルフクラブ)を建設することを計画して土地の買収を始め、植栽工事等を地元の造園業者である窪田や橋本、原田などに請け負わせていたが、窪田らは、自己の力量不足から植栽工事等が進展しないため、甘木地区造園業組合に応援を求め、総勢十社以上が植栽工事等に従事するようになった。右植栽工事等については、一時、内山緑地建設が工事全部を請け負い、他の業者は内山緑地建設の下請けになるとの話があり、これに他の業者が反発して工事が中断するなどして、容易に進捗しなかった。

佐藤工業は、昭和六三年八月三日ころ、京都通信機から右ゴルフ場建設工事を請け負ったが、植栽工事等の代金の支払方法は、工事完成後同工事等の請負業者から発注者に代金額を請求し、これに応じて発注者が支払うという仕組みであったため、昭和六三年末当時も、発注者が代金を支払わないまま植栽工事等だけを急がせるとして右の請負業者の間で不安が広がり、請負業者が各自ばらばらに植栽工事等を施工して、計画的に工事を進めないことや、工事に必要な人夫を雇う経費も不足したこともあって、工事が中断した状態であった。

この間、小林や窪田らが資金を用意して、他の請負業者に植栽工事等の未払代金の一部を立替払いすることもあったところ、昭和六三年一一月末ころ、六者は協力して本件植栽工事等を行うこととして本件企業体を結成し、そのころ六者が均等に一〇五万円を出資した。

(二) 昭和六三年末に佐藤工業と本件企業体とが話し合った結果、植栽工事等の代金の支払は佐藤工業が責任をもって対応する旨約したため、本件企業体は、平成元年一月から本件植栽工事等を再開した。

爾後、本件企業体は、発注者である佐藤工業の希望をいれながら、植栽箇所を区切った上植栽計画を立て、六者で話し合いの上、各者が自己の責任で植栽に必要な樹木の種類、本数、人員を用意して植栽していき、区切った箇所を完成させてはまた次の箇所の植栽を行う方法で本件植栽工事等を施工していった。

(三) 本件植栽工事等の工事代金は、六者がそれぞれ自己が施工した部分の代金額を本件企業体に届け、本件企業体が取りまとめた上本件企業体の代表者小林名儀で佐藤工業に請求し(右の請求の始期は平成元年三月である。)、同社から本件企業体が支払を受けている。

(四) 六者は、平成元年一月八日付けで本件協定書を作成してこれに記名押印したが、同協定書では次のように規定されている。

(1) 本件企業体は、造園建設事業を共同連帯して営むことを目的とし(一条)、各構成員は、造園工事の請負契約の履行に関し、連帯して責任を負う(一〇条)。

(2) 本件企業体は小林を代表者とし(六条)、代表者は、建設工事の施工に関し、本件企業体を代表して発注者及び監督官庁等と折衝する権限並に自己の名義をもって請負代金の請求受領及び本件企業体に属する財産を管理する権限を有する(七条)。

(3) 本件企業体は、構成員全員をもって運営委員会を設け、造園工事の完成に当たるものとする(九条)。

(4) 本協定に基づく権利義務は他人に譲渡することはできない(一五条)し、構成員は、発注者及び構成員全員の承認がなければ本件企業体が造園工事を完成する日までは脱退することができない(一六条)。

(5) 本件企業体の構成員の出資の割合は別に定めるところによるものとする(八条)。

(6) 本件企業体は、工事竣工の都度、当該工事について決算するものとし(一二条)、決算の結果利益を生じた場合には、出資の割合により各構成員に利益金を配当するものとし(一三条)、決算の結果負担金を生じた場合には、出資の割合により構成員が欠損金を負担するものとする(一四条)。

(五) なお、本件協定書では、佐藤工業が発注するゴルフ場緑化に係る造園緑化工事についての構成員の出資の割合は、藤吉を二〇パーセントとするほか、小林、窪田、原田、原告、橋本はいずれも一六パーセントとされているが、右の割合は計算上の便宜のために算出したもので、実際には、(一)のとおり、各構成員が六分の一の割合で均等に各一〇五万円宛を出資している。

(六) 福岡センチュリーゴルフクラブは、平成二年五月二〇日にオープンし、本件企業体は、発注者に対し、本件植栽工事等の完了後樹木が枯れた場合に備えて一定期間の保証を約していたが、平成五年五月一九日をもって本件植栽工事等に伴う三年補償木植替えを完了したとして、出資割合により各構成員に最終分配をし、出資金を返済して、同年六月三〇日に解散した。

(七) 本件企業体の事業内容は、少なくとも平成元年初めころから平成四年ころまでの間は、大きな変化はない。

以上の事実が認められる。

なお、証拠(甲二四、原告代表者)中には、本件企業体の成立時期、本件植栽工事等の発注者、同工事の請負形態、佐藤工業との話し合いの内容、本件協定書の成立時期等について、第二の四1(原告の主張)(一)(2)ないし(6)に沿う部分があるが、右部分は、これらを裏付ける客観的な証拠もないから、にわかに採用できず、前記認定の限度で認定するのが相当である(本件協定書には、本件植栽工事等の発注者が佐藤工業であると明記されていることや、本件企業体が平成元年一月から本件植栽工事等を再開した後、同年三月にはその工事代金を佐藤工業に請求していることからすると、少なくとも本件更正処分等で問題とされる時期の本件植栽工事等の発注者は佐藤工業であると認定できるし、また、本件企業体の事業内容が平成元年初めころから平成四年ころまでの間大きな変化がないことは前記認定のとおりであり、本件協定書の作成時期の前後により本件企業体の実体に変化があったことを認めるに足りる証拠はないから、本件企業体の性格を検討するにあたって、本件協定書の作成時期がいつであるか(作成日付である平成元年一月八日ころか、原告主張のように平成二年二月中旬か)は、必ずしも明示的に認定する必要はないと考える。)。

2  ところで、組合契約は、各当事者が出資して共同の事業を営むことを約することによって効力を生じる(民法六六七条一項)から、組合とは、右の合意に基づいて創設された団体であるといえるが、右1の認定事業、とりわけ、六者は、協力して本件植栽工事等を営むために本件企業体を結成したこと、各自が金一〇五万円を出資していること、本件企業体は、本件協定書から明らかなように、本件植栽工事等を共同連帯して履行し、同工事等の請負契約については構成員が連帯して責任を負う(一条、一〇条)もので、本件植栽工事等の履行及びそれに伴う責任を六者が連帯して負担していること、本件企業体には、全構成員による運営委員会が設けられており(九条)、全構成員が業務の遂行に関与する権利を持っていること、各構成員が出資し(八条)、その出資額は、本件企業体の損益分配計算の基礎となっており(一三条、一四条)、全構成員が事業の成功に利害関係を有していることからすると、本件企業体は、各構成員が出資して本件植栽工事等の請負という共同事業を営むことを合意して結成されたものといえるから、民法上の組合にあたると認めるのが相当である。

そして、組合の場合、組合そのものは法人格を有しないから、権利義務の主体は組合員であることになり、したがって、本件企業体に生じた権利義務は、組合員である各構成員に直接的に帰属していることとなる。

そうすると、本件企業体に対する各構成員の出資の割合は各六分の一であり、本件企業体の損益分配の割合は出資の割合によるのであるから、本件企業体が行った営業活動により生じた利益又は損失のうち六分の一に相当する金額は、各構成員の利益又は損失として各構成員に帰属することになる。

3  原告は、本件企業体の実体は、代金収受計算と植栽工事後の保守管理の共同施工を業務とするにすぎないと主張するところ、第二の二2(一)ないし(六)の事実及び右1(三)、(六)の事実によれば、本件企業体の役割として右の側面があったことは認められるけれども、六者は、本件協定書に記名押印しており、その内容に異議を唱えたことを認めるに足りる証拠はないから、本件企業体は、本件協定書どおりの実体を有するものといえるところ、本件企業体が原告の主張する以上に、本件植栽工事等の共同事業を営むために結成されたものであることは、右2のとおりであるから、この点に関する原告の主張は採用できない。

4(一)  原告は、雲仙造園工事における被告の課税処理を例に、本件更正処分等の違法を主張するけれども、本件更正処分等は、原告のした法人税、消費税の確定申告に対し、本件植栽工事等に関する部分の申告が不当であるとしてされたものであるから、本件更正処分等が違法であるか否かについては、本件植栽工事等に関する部分についての被告の課税処理が違法であるか否かを判断すれば足りるものであり、雲仙造園工事における被告の課税処理の適否とは関係しないものというべきである。

(二)  のみならず、証拠(甲九ないし一六、一八ないし二二、乙二の1、一四、一五、原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば、

(1) 佐藤工業は、平成二年一月ころ京都通信機から雲仙半水廬旅館新築工事を請け負い、そのころ、これに伴う造園工事(雲仙造園工事)を本件企業体に発注した(工事代金一四億四二〇〇万円。ただし、その後一部減額。)こと

(2) 雲仙造園工事は、実際には藤吉が施工したが、本件企業体が佐藤工業から請け負い、これを藤吉に下請に出した(下請工事代金は一二億五五四八万円。ただし、その後一部減額。)形式をとっていること

(3) 藤吉を除く本件企業体の構成員五者は、平成二年一月ころ、雲仙半水廬新築工事共同体を結成したが、施工後の植木に対する保証責任を同企業体が負うとして、佐藤工業からの請負工事代金の六パーセント相当額を各自が均等に受取ることとし、その一部として、同工事が一部完成した後である平成四年四月に、共同企画料名義で一者当たり一五〇〇万円宛の分配を受け、残金は、平成四年七月段階では、残工事、保証工事等の出資に備えるため同企業体に保留したこと

が認められるのであり、本件植栽工事等では六者が共同施工しているのに対し、雲仙造園工事は藤吉のみが施工し、藤吉を除く五者の役割は単に工事完成後の保証責任を負うとするに止まり、何ら工事を施工しないまま利益の分配に与っているにすぎないことからすれば、本件植栽工事等と雲仙造園工事とは、その事業実態において両者の間に相当の開きがあるといえるから、被告が、右の実態に照らし、原告について、本件更正処分等における本件植栽工事等に関する部分の課税処理と、雲仙造園工事の課税処理とを異にしたからといって、そのことから、本件更正処分等が違法となるものとは到底言えない。

二  争点2(本件企業体に係る収益計上時期)について

1(一)  原告の法人税課税における本件企業体に係る収益計上時期について

内国法人の所得の金額は、各事業年度の益金の額から損金を控除した金額であるが(法人税法二二条一項)、〈1〉益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額であり(同条二項)、〈2〉損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、原価の額、費用の額及び当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの(以下、原価等の額以下を一括して「損失の額」という。)であり(同条三項)、右の収益の額及び損失の額は、公正妥当会計処理基準に従って計算されるものとされている(同条四項)。

(二)  法人税法は、民法上の組合に関する損益の計算について別段の定めをしていないところ、法人税基本通達一四―一―一(乙三〇。以下「本件法人税通達」という。)は、「法人が組合員となっている組合の利益金額又は損失金額のうち組合契約又は民法第六七四条(損益分配の割合)の規定により利益の分配を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額は、たとえ現実に利益の分配を受け又は損失の負担をしていない場合であっても、当該組合の計算期間の終了の日の属する当該法人の事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。ただし、当該組合が毎年一回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には、当該法人の各事業年度の期間に対応する組合事業の損益を計算して当該法人の当該事業年度の益金又は損金の額に算入する。」としているから、本件法人税通達によれば、組合が毎年一回以上一定の時期に損益の計算をしている場合には、その計算に基づく利益金額又は損失金額を現実に組合員である法人に利益を分配し又は損失の負担をさせていない場合であっても、当該組合の計算期間の終了の日の属する当該法人の事業年度の益金又は損金の額に算入されることになる。

(三)(1)  法人税法二二条四項が、収益の額及び損失の額は公正妥当会計処理基準に従って計算されるとしているのは、課税所得が流動する社会経済事象を反映することから、その計算を税法において規定し、一律・完結的に規制するよりも、適切に適用されている法人の会計慣行に委ねるほうがより適切であるとの趣旨によるものと解される。

したがって、同項にいう公正妥当会計処理基準とは、適切な会計慣行、すなわち、一般社会通念に照らし公正妥当と評価できる会計処理の基準という意味であり、必ずしも企業会計原則のような明文化された特定の基準を指すものではないと解するのが相当である。

(2) ところで、民法上の組合が行う事業は、複数の組合員が参加して行うものであるから、組合員に法人が含まれている場合には、各組合員の事業年度がそれぞれ異なる場合があるが、このような場合に、組合が事業年度の異なる組合員毎に組合の決算報告を行わなければならないとすると、その事務はきわめて煩雑なものとなり、組合の会計処理に支障を来すことになりかねないことは容易に推測できるところである。

他方、組合員としては、組合に係る損益を正確に自己の決算に反映させるためには、組合から適切な会計資料の提供を受けることが必要であるが、右の必要は、組合から一定時期に決算報告を受けることにより満足されるものである。

そうすると、法人が組合員となっている組合において、その組合に係る損益の帰属する時期を組合の計算期間の終了する日の属する法人の事業年度とすることは、組合及び組合員の双方にとって便宜であり、一般社会通念に照らし公正妥当な取扱いと評価できるから、本件法人税通達のような取扱いも公正妥当会計処理基準に該当するといえる。

(四)(1)  本件企業体は、第二の二2のとおり、毎年一回以上一定の時期に本件企業体の損益について会計報告を行い、平成二年五月報告も、その一つとして、貸借対照財産表及び損益収支報告書に基づいて行われていることからすると、公正妥当会計処理基準に該当するものといえ、被告が、原告の本件企業体に係る損益は、本件企業体の計算期間の終了する日の属する原告の事業年度の損益に算入すべきであるとして、平成二年五月報告により原告の本件企業体に係る損益を計算したことには違法はない(なお、後記2参照)。

(2) ちなみに、第二の二2によれば、原告は、本件企業体から受領した分配金を、本件企業体の計算期間の終了する日の属する原告の事業年度の益金に計上していることが認められるから、原告自身、平成二年五月報告を含め、本件企業体の会計報告により、原告の本件企業体に係る損益を本件企業体の計算期間の終了する日の原告の事業年度の損益とすることを是認しているといえるものである。

(五)(1)  本件企業体の共同事業である本件植栽工事等は請負契約による工事であり、工事完成後は発注者へ引渡すべきものであるところ、目的物の引渡を要する請負契約における報酬の支払時期は、目的物の引渡と同時である(民法六三三条)から、請負人である本件企業体が本件植栽工事等を完成して目的物を引渡した時(部分的に完成して引渡した時はその時。)に請負代金債権の支払時期が到来するもので、これにより右の時期に本件企業体に係る請負による収益の実現があったこととなる。

(2) そうすると、本件企業体の各会計報告及びそれに伴う各構成員への利益分配(第二の二2)は、本件企業体においては、工事竣工の都度、当該工事について決算し、決算の結果利益を生じた場合には、出資の割合により各構成員に利益金を配当するとされていること(本件協定書一二条、一三条)からして、本件植栽工事等が竣工(部分完成を含む。)して引渡をしたことを理由として行われたものということができ、本件企業体の各会計報告に係る計算期間の終了の日の属する原告の事業年度が本件企業体に係る請負による収益が原告に帰属した時期であるということができる。

(3) したがって、右(1)、(2)でみたように、請負収益の計上時期の面から検討しても、本件企業体に係る収益の計上時期は、本件企業体の計算期間の終了する日の属する原告の事業年度ということができ、本件企業体の平成元年一二月報告及び平成二年五月報告に係る収益は、それぞれの計算期間の終了の日の属する原告の事業年度である原告の平成二年一一月期の法人税の益金となるべきものである。

(六)  以上みてきたところによれば、本件企業体の構成員である原告の本件企業体に係る損益は、本件法人税通達に定めるとおり、本件企業体の計算期間の終了の日の属する原告の事業年度の益金の額又は損金の額に算入するのが相当である。

したがって、第二の二2(一)、(二)の計算期間の利益については、本件企業体は民法上の組合であることから、これに生じた権利義務が各構成員に直接的に帰属する結果、各構成員に分配されずに本件企業体に留保されている同計算期間の利益についても、そのうち原告の出資割合に対応する利益は、本件企業体の計算期間の終了する日の属する原告の事業年度、すなわち平成二年一一月期の法人税の益金に含まれることになるというべきである。

2  平成二年五月報告によることの不当性に関する原告の主張について

原告は、平成二年五月報告の実体は収支計算書にすぎず、企業会計原則に基づく損益計算書ではないし、その内容も不正確であると主張するが、平成二年五月報告は公正妥当会計処理基準にあたるといえるし(1(四)(1))、公正妥当会計処理基準といえるものであれば、必ずしも企業会計原則のような明確な基準でなくとも差し支えないことは1(三)(1)のとおりである上、仮に平成二年五月報告の一部に不正確な部分があったとしても、第二の二2(二)のとおり、同報告は各構成員全員が承認しているものであるし、本件企業体の同期間の会計処理に他に依るべき会計報告が存在しない以上、被告が平成二年五月報告に基づいて損益計算をすることもやむを得ないというべきであるから、この点に関する原告の主張も採用できない。

3  原告に対する消費税課税期間の適否について

(一) 消費税を納付する義務は、課税資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供《消費税法二条一項八号》)をした時に成立する(国税通則法一五条二項七号)ところ、消費税法には右の「課税資産の譲渡等をした時」についての定めはないけれども、この概念は、収入ないし収益に類する概念と解されるところ、所得税においては、「その年において収入すべき金額」を収入金額とするとされている(所得税法三六条一項)が、右の収入すべき金額とは、その年において実現した収益である。収入すべき権利の確定した金額をいうものであること、法人税においては、原則として、資産の譲渡等によって債権が確定した時に収益が発生し、それが属する事業年度に収益を計上すべきであると解されていることからすると、消費税の場合にこれらと別異に解すべき理由はないから、これらと同様に解するのが相当である。

そうすると、右の「課税資産の譲渡等をした時」とは、原則として課税資産の譲渡等により利益が実現した時をいい、その時に消費税の納付義務が発生するというべきであり、具体的には、〈1〉資産の譲渡については、資産の引渡のあった日、〈2〉資産の貸付けについては、使用料等の支払を受けるべき日、〈3〉役務の提供については、目的物の全部を完成して引渡した日又は役務の提供の全部を完了した日、を「課税資産の譲渡等をした時」とすることを原則としつつ、取引の類型や態様に応じて判断し、その計算が公正妥当会計処理基準適合するか否かを検討すべきである。

(二) ところで、組合が組合契約に基づく共同事業を営んでいる場合、組合がする共同事業としての資産の譲渡等は、組合の権利義務が直接組合員に帰属することから、その共同事業に係る組合員の持分の割合又は利益の分配割合に対応する部分については、それぞれの組合員が行ったことになるといえるが、右の、組合員が資産の譲渡等を行ったことになる部分についての資産の譲渡等の時期は、現実にその資産の譲渡等が行われた時が原則である。

しかしながら、組合の会計処理上、組合が共同事業として行った資産の譲渡等の内容をその都度逐一組合員に報告することは煩瑣に耐えないから、組合としては、その計算期間に応じ、組合員に対し、資産の譲渡等の内容を一定期間分まとめて報告するほうが便利であり、組合員も、右の報告を受けることによって資産の譲渡等の内容を知ることができ、特に不都合もないといえるから、組合が資産の譲渡等の報告にあたって、右の方法をとることが多いことは容易に推察できるところであり、右の方法によることも、一般社会通念に照らし、公正妥当と評価できる会計処理の基準といえる。

したがって、組合の会計処理の計算期間と組合員自身の課税期間が異なる場合には、組合が共同事業として行った資産の譲渡等については、組合の会計処理上の計算期間の終了する日の属する各組合員の課税期間中に行われたものとして取り扱うことも公正妥当会計処理基準として認められるというべきである。

(三) これを本件企業体についてみるのに、本件企業体は民法上の組合といえるところ、第二の二2のとおり、本件企業体の会計報告はいずれもその都度構成員全員が承認しているし、右の会計報告以外に各構成員に対して本件企業体の経理内容が示されたことや、各構成員の事業年度に応じた会計報告がされたことはないから、本件企業体に係る平成二年課税期間及び平成三年課税期間の消費税の計算は、右の会計報告の計算期間によるのが相当であり、本件企業体の各会計報告に係る計算期間の終了する日の属する各構成員の課税期間中に本件企業体の資産の譲渡等が行われたものとして、原告に対して行った平成二年課税期間に係る消費税更正処分及び平成三年課税期間に係る消費税更正処分には、いずれも違法はない。

なお、本件植栽工事等は、物の引渡を要する請負契約による工事であるところ、この場合の収益計上時期は、前記二1(五)のとおりであるから、この点からしても、本件企業体の各会計報告に係る計算期間の終了する日の属する各構成員の課税期間中に資産の譲渡等が行われたものとするのが相当である。

三  争点3(消費税の二重課税となるか)について

1  民法上の組合が行う取引の効果の帰属等について

民法上の組合が、その共同事業によって取得した財産は、組合自身の財産として総組合員の共有に属するものであり(民法六六八条)、組合員自身の個人財産とは区別されるべきものである。また、組合が対外的取引をすることはもとより可能であり、その場合の対外的取引の効果は、組合が法人でないことから、全組合員に帰属するものであるし、組合が組合員との間で取引をした場合には、その取引に基づく代金や目的物の移転に関する権利義務が、当該取引をした組合員と他の組合員全員との間に成立することになる。そして、組合と組合員との取引により、組合が財産を取得した時は、右の組合財産については、当該取引をした組合員と他の組合員との共有になることとなる。

2  佐藤工業と本件企業体及び本件企業体と原告との取引について

(一) 消費税の課税対象は、国内取引の場合、国内において事業者が行った資産の譲渡等)であり(同法四条一項)、消費税法基本通達一―三―一(乙三二。以下「本件消費税通達」という。)は、「共同事業……に属する……資産の譲渡等若しくは課税仕入れ……については、当該共同事業の構成員が、当該共同事業の持分又は利益の分配割合に対応する部分につき、それぞれ資産の譲渡等若しくは課税仕入れ……を行ったことになる……」としている。

(二)(1) ところで、事業者は、消費税を納付する義務がある(消費税法五条一項)が、右の事業者とは、個人事業者及び法人をいい(同法二条一項三号、四号)、民法上の組合はこれに含まれないから、民法上の組合である本件企業体は、独立した消費税の納税義務者にはあたらない。

しかしながら、組合が資産の譲渡等を行った場合は、組合が法人格を有しないことから、その権利義務が組合員に帰属することになる(一2)から、右の場合、消費税は、組合員がその持分の割合又は利益の分配割合に応じて負担すべきものである。したがって、本件消費税通達の定める取扱は、正当なものとして是認することができる。

(2) 資産の譲渡等のうち、役務の提供とは、各種の契約により労務・便益その他のサービスを提供することをいうと解されるところ、本件企業体は、佐藤工業から本件植栽工事等を受注してこれを施工したものであるから、事業として対価を得て役務の提供を行っているといえ、右(1)のとおり本件企業体の権利義務は各構成員に帰属するから、本件企業体の構成員である原告は、佐藤工業と本件企業体との取引について、その出資割合である六分の一に相当する部分について資産の譲渡等を行ったことになる筋合いであり、同部分については原告に対する消費税の課税対象となるべきものである。

(三) また、証拠(甲一、一七、原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば、本件企業体は、各構成員及び構成員以外の業者から植木を仕入れたり、工事を外注に出したりしており、これらの場合には、本件企業体の総勘定元帳では、「植木仕入」及び「外注工賃」として計上され、他方、本件企業体の構成員である原告の総勘定元帳には、本件企業体に対する「植木売上」及び「ゴルフ場造園売上」として計上されていることが認められるところ、本件企業体と原告を含む本件企業体の構成員との右の取引は、植木の売買契約又は本件植栽工事等の請負契約と認めるのが相当であるから、原告は、本件企業体に対し、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び役務の提供を行ったものというべきである。

したがって、右の取引は、組合と組合員との内部取引といえ、これについても消費税の課税対象となるものである。

3  なお、本件企業体から原告を含む各構成員が下請受注した場合、各構成員の出資割合が六分の一であるから、下請受注した金額のうち、自己の出資割合に応じた六分の一に相当する金額を除いた残りの六分の五が他の構成員五者に対する課税売上となるところ、この場合、他の構成員五者は、いずれも六分の一の割合で出資しているから、下請受注した構成員の受注した金額のそれぞれ六分の一を、控除対象仕入税額の計算上、課税仕入れとすることができ、このため、構成員全員の実質的な課税売上に係る消費税額の総額は、本件企業体の佐藤工業からの受注総額に係る消費税額に一致する。

しかしながら、弁論の全趣旨によれば、原告は、消費税法三七条(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例。以下「簡易課税制度」という。)一項所定の届出をしていることが認められるところ、このように、構成員が簡易課税制度を選択している場合には、課税仕入れに係る消費税額は、課税売上に係る消費税額の八〇パーセント相当額となる(同法三七条一項)ことから、前記のような等式が成立せず、結果的に簡易課税制度を選択しない場合よりも多い金額の消費税納税義務が生ずるが、これは、構成員が簡易課税制度を選択した以上、やむを得ないものというべきである。

4  原告は、被告が二重課税を行っていると主張するが、右1のとおり、佐藤工業と組合である本件企業体との間の取引と、本件企業体とその構成員である原告との間の取引とは別個に考えるべきものであり、原告の主張はこれらを混同しているものというほかはないから、採用できない。

四  本件更正処分等における課税額算定の適否について

1  平成二年一一月期の法人税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分について

(一) 所得金額

法人税は、法人の所得に対して課されるものであり(法人税法五条)、法人の所得の金額は、益金の額から損金の額を控除した金額である(同法二二条一項)ところ、原告の確定申告所得金額は七六七万八七四九円であるから、他に原告の益金又は損金として考慮すべき額の有無を検討する。

(1) 益金として考慮すべき額。

(ア) 本件企業体に係る原告の利益金額

(a) 本件企業体の益金の額

第二の二2(二)の事実及び証拠(乙九)によれば、本件企業体は、平成二年五月報告において、平成元年一月一日から平成二年五月三一日までの収益として、造園工事売上高五二億一三八八万九九五三円、営業外収益計二五七一万六七九〇円を計上し、また、平成二年五月三一日までの計算期間における仮受消費税四五五三万一一二六円を計上していることが認められ、右の仮受消費税は、同期間における造園工事に係る売上に伴って受領したものと推認できるところ、民法上の組合である本件企業体が消費税の納税義務者となり得ないことは前記三1(二)のとおりであり、右の仮受消費税は、本件企業体の売上金額として受領したものとみるほかはないから、本件企業体の益金として加算すべきである。

そうすると、本件企業体の益金の額は、右の造園工事売上高、営業外収益、仮受消費税の合計五二億八五一三万七八六九円となる。

(b) 本件企業体の損金の額

第二の二2(二)の事実及び証拠(乙九)によれば、本件企業体は、平成二年五月報告において、平成元年一月一日から平成二年五月三一日までの造園工事原価として四八億五五三四万一八三一円を計上し、その中に共同企画報酬分配として各構成員への既分配額一億〇八〇〇万円を計上していること、ほかに、右期間の管理雑費一八〇〇万九一六六円及び営業外費用四四五万一三四七円を計上していることが認められるところ、各構成員への既分配額一億〇八〇〇万円は本件企業体の利益を各構成員に分配したものにすぎず、造園工事の原価とはいえないから、これを控除した上、管理業務費及び営業外費用を加えた合計四七億六九八〇万二三四四円が損金の額となる。

(c) 本件企業体に係る原告の利益金額として益金に加算すべき金額

本件企業体の利益金額は、右(a)の益金合計額から、右(b)の損金合計額を控除した五億一五三三万五五二五円となるが、原告の本件企業体に対する出資割合は六分の一であるから、右の六分の一に相当する金額(八五八八万九二五四円。円未満切り捨て)が本件企業体に係る原告の利益金額となる。

しかしながら、原告は既に本件企業体からの利益として平成二年一一月期に四〇〇〇万円を申告している(第二の二2(一)、(二))から、これを控除すると、本件企業体に係る原告の利益金額して益金に加算すべき金額は四五八八万九二五四円となる。

(イ) 収益として計上すべき仮受消費税の額

(a) 法人税の課税所得金額の計算に当たり、法人が行う消費税の対象となる取引に係る経理処理については、税抜処理方式(消費税の額と当該消費税に係る取引の対価の額とを区分して経理する方式)と税込処理方式(消費税の額と当該消費税に係る取引の対価の額とを区分しないで経理する方式)とが認められており、法人がいずれの方式を選択するかは任意とされている(乙三一の1。「消費税法の施行に伴う法人税の取扱いについて」国税庁長官通達・直法二―一の一項、三項。以下「施行取扱い」という。)。

(b) ところで、証拠(乙四、六)によれば、原告は、平成二年一一月期の法人税の確定申告書添付の貸借対照表では、負債の部に仮受消費税として七七九万五〇一六円を計上しているが、これを平成三年一一月期の損益計算書の営業外損益の部に消費税収入として計上し、益金算入していることが認められる。

右の事実によれば、原告の消費税の経理処理は、法人税の確定申告書に添付した貸借対照表に「仮受消費税」を掲げていることから、一見税抜処理方式を採用しているかのように見えるけれども、右の仮受消費税を、翌期である平成三年一一月期には消費税収入として計上していることからすると、自ら仮受消費税とした処理が不適当であったことを認めたものといえ、したがって、原告の消費税の経理処理は、消費税の額と当該消費税に係る取引の対価の額とを区分しないものというべきであり、税抜経理方式ではなく、税込経理方式であると認めるのが相当である。

(c) 法人の当該事業年度において資産に係る控除対象外消費税額等が生じた場合において、その生じた資産に係る控除対象外消費税額等の合計額につき、その法人が当該事業年度において損金処理をしたときは、当該損金処理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入される(法人税法施行令一三九条の一〇)が、税込経理方式を適用している法人が納付すべき消費税額は、納税申告書に記載された税額については当該申告書が提出された日の属する事業年度の損金の額に算入することとされている(施行取扱い七項)。

したがって、原告が、平成二年一一月期の確定申告書添付の貸借対照表の負債の部に仮受消費税として計上した七七九万五〇一六円は、同期の負債ではなく、同期における原告の売上の一部とみるべきものであり、同期の益金として計上すべきであるから、これを加算することになる(反面、平成三年一一月期の確定申告書添付の損益計算書の営業外損益の部に消費税収入として計上した同額の金額については、平成三年一一月期の所得金額から控除されることになる。)。

(2) 損金として考慮すべき額

法人が各事業年度において支出した寄付金の額の合計額のうち、その法人の資本等の金額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として一定の算式により計算した金額(以下「損益算入限度額」という。)をこえる部分の金額は、その法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないこととされている(法人税法三七条二項、同法施行令七三条一項ないし三項)。

証拠(乙四)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成二年一一月期の法人税確定申告書における所得金額の計算にあたり、同事業年度中に支出した寄付金二〇万円のうち八万三〇五三円を損金不算入としていることが認められるけれども、右(一)(1)(ア)、(イ)によれば、原告の寄付金の損金算入限度額の計算の基礎となる所得の金額が増加するから、証拠(乙四)及び弁論の全趣旨によって認められる、原告の申告した所得金額仮計の金額(原告の申告所得金額として、原告主張の寄付金の損金不算入額八万三〇五三円及び法人税から控除される所得税額に相当する金額三万九八八七円(所得金額の計算上損金不算入とされる。)を加算する前の金額)、資本金額を基に、法令に従って再計算すると、別表一のとおり、寄付金の損金算入限度額は七八万八〇〇〇円となり、原告が同事業年度中に支出した寄付金二〇万円は全額損金に算入されることになる。

したがって、原告が損金不算入としていた八万三〇五三円は損金に算入すべきものである。

(二) 納付すべき法人税額

(1) 原告の所得金額は、〈1〉確定申告額七六七万八七四九円に、〈2〉右(一)(ア)(c)(本件企業体に係る原告の利益金額四五八八万九二五四円)及び(イ)(仮受消費税七七九万五〇一六円)から右(一)(2)(寄付金の損金不算入額八万三〇五三円)を控除した額(五三六〇万一二一七円)を加算した額である〈3〉六一二七万九九六六円となり、その所得金額(〈3〉)に対する税額は二三六三万一六〇〇円となる(法人税法六六条一項、二項、所得税法等の一部を改正する法律(昭和六三年一二月三〇日法律第一〇九号)附則一七条。課税標準の千円未満の端数切り捨てにつき、国税通則法一一八条一項、税額の百円未満の端数切り捨てにつき、同法一一九条一項。以下、これらの端数があるときは同じ。)

(2) 証拠(原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば、原告は同族会社であると認められるところ、同族会社の事業年度の留保金額が留保控除額をこえる場合には、通常の法人税の額に、そのこえる部分の留保金額に応じて一定の算式により特別税率による法人税が加算されることになる(法人税法六七条、同法施行令一四〇条)から、これを法令に従って計算すると別表二のとおりとなり(弁論の全趣旨によれば、原告の申告に係る期末利益積立金額は、別表二〈7〉欄記載の金額であることが認められる。)、原告に対しては、(1)の法人税とは別に、一一三万〇八〇〇円の法人税が加算されることになる。

(3) 右(1)と(2)の合計額は二四七六万二四〇〇円となるが、証拠(乙四)によれば、原告は、所得税額として三万九八八七円を納付しており、これは税額控除の対象となる(法人税法六八条一項、三項)から、これを控除すると、原告が納付すべき法人税額は二四七二万二五〇〇円となる。

(三) 平成二年法人税更正処分においては、納付すべき税額を二一三八万八八〇〇円としているけれども、本来原告が納付すべき税額は右(二)(3)のとおり、二四七二万二五〇〇円であり、同更正処分は、あるべき税額の範囲内の税額に更正したにとどまるから、同更正処分は適法というべきである。

(四) 過少申告加算税について

原告は、平成二年一一月期の法人税更正処分により、申告納税額のほかに新たに税額を納付すべきこととなるから、被告が、その増差税額について国税通則法六五条により過少申告加算税を賦課決定したことには違法はない。

2  平成二年課税期間に係る消費税更正処分及び過少申告加算税の賦課決定について

(一) 平成二年課税期間の消費税については、原告の申告に基づく課税売上金額(税込)に次の課税売上金額(税込)を加算、減算して課税売上金額(税込)を計算し、それを基として課税標準額及び納付すべき税額を算定すべきである(消費税法五条一項)。

(1) 本件企業体に係る課税売上金額(税込)

(ア) 一ないし三で認定判断したところによれば、本件企業体は民法上の組合に該当するところ、各構成員の出資の割合は六分の一であるから、本件企業体が行った営業活動の結果生じた売上金額の六分の一に相当する金額は各構成員に帰属することになり、したがって、本件企業体の課税売上金額の六分の一に相当する金額は原告の消費税に係る課税売上金額(税込)として加算すべきである。

そして、消費税の対象とする原告の本件企業体に係る課税売上金額(税込)の計上時期については、法人税等の場合と同様と解すべきであることは、二3でみたとおりであるから、その計上時期は、本件企業体の計算期間の終了の日、すなわち、第二の2の会計報告の属する課税期間とするのが相当であり、課税期間における本件企業体の会計報告に基づく課税売上高(税込)の六分の一が原告のそれぞれの課税期間の課税売上金額(税込)となるものである。

したがって、平成二年課税期間における原告の本件企業体に係る課税売上金額(税込)の算定に当たっては、平成二年五月報告の累計額から消費税法適用日(平成元年四月一日)前(同年三月以前)の売上金額を減算して計算することになる。

(イ) 第二の二2(二)の事実及び証拠(乙九)によれば、平成二年五月報告では、平成二年五月三一日までの間の本件企業体の造園工事売上高として五二億一三八八万九九五三円、雑収入として一五二万三四五五円、仮受消費税として四五五三万一一二六円が計上されていることが認められるところ、証拠(乙三、一六の2ないし5、13ないし18)によれば、消費税法適用日前の本件企業体の造園工事売上高は三億三八七六万五〇〇〇円であることが認められるから、本件企業体の課税売上(税込)は、右の全体の造園工事売上高から消費税法適用日前の造園工事売上高を控除した金額に雑収入及び仮受消費税額を加えた合計四九億二二一七万九五三四円となり、その六分の一に相当する金額八億二〇三六万三二五五円が原告に帰属することになる。

(ウ) 他方、原告は、平成二年課税期間に本件企業体への課税売上として四〇〇〇万円を計上している(第二の二2(一)、(二))から、これを控除した七億八〇三六万三二五五円を原告の本件企業体に係る課税売上金額(税込)として加算すべきことになる。

(2) 消費税雑収入の課税売上金額(税込)

原告は、平成二年一一月期の法人税の確定申告書に添付した貸借対照表に、仮受消費税として金七七九万五〇一六円を計上しているのであるが(1(一)(1)(イ)(b))、原告は税込経理方式によっているのであるから(同)、右の仮受消費税は課税売上金額(税込)に加算すべきものである。

(3) 内部取引による課税売上金額(税込)

平成二年五月報告の計算期間は、平成元年一月一日から平成二年五月三一日までであり、証拠(甲一、一七、乙三)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、右の期間に本件企業体への売上金額(税込)として八一六七万〇六二三円を計上していることが認められるところ、右の取引は、本件企業体とその構成員(組合と組合員)との取引であり、本件企業体からみた場合、その効果は六分の一の割合(各構成員の出資の割合)で各構成員に帰属する結果、原告にも六分の一の割合で帰属することになるから、原告の本件企業体への売上金額(税込)の六分の一である一三六一万一七七〇円は原告に帰属するものであり、内部取引として原告の課税売上金額(税込)から控除すべきである。

(4) 課税売上金額(税込)の計算

証拠(乙五)によれば、原告は、消費税の確定申告書に課税売上高として二億九四六三万八七三四円を計上していることが認められるから、これに一〇〇分の一〇三(消費税率は一〇〇分の三)を乗じた金額(三億〇三四七万七八九六円。これが税込の金額となる。)に、本件企業体に係る課税売上金額(税込。(1))と消費税雑収入の課税売上金額(税込。(2))を加算し、内部取引による課税売上金額(税込。(3))を減算すると、原告の平成二年課税期間の課税売上金額(税込)は、一〇億七八〇二万四三九七円となる。

(5) 課税標準額及び納付すべき税額

(ア) 平成二年課税期間の課税標準額は、右(4)の課税売上金額(税込)一〇億七八〇二万四三九七円に一〇三分の一〇〇を乗じて算定した一〇億四六六二万五〇〇〇円となる(消費税法二八条一項、二九条)。

(イ) 原告が納付すべき消費税の額は、課税標準額に対する消費税額(以下「売上税額」という。)から課税仕入れに係る消費税額(以下「仕入税額」という。)の控除を行った金額であるが(消費税法二八条ないし三〇条)、仕入税額控除の方法として、消費税法は、基準期間(課税期間の前々事業年度(同法二条一項一四号))における課税売上高が五億円以下の事業者に対し、選択により、簡易課税制度の適用を認めており(同法三七条一項)、弁論の全趣旨によれば、原告は、平成元年課税期間から簡易課税制度の適用を受けていることが認められるところ、簡易課税制度においては、仕入税額は、卸売業者を除き、その課税期間の売上税額の八〇パーセント相当額とされている(同法三七条一項)から、これを計算すると、売上税額は課税標準額一〇億四六六二万五〇〇〇円に消費税率三パーセントを乗じた三一三九万八七五〇円となり、仕入税額はその八〇パーセント相当額である二五一一万九〇〇〇円となるから、納付すべき消費税額は、右の売上税額から仕入税額を控除した六二七万九七〇〇円となる。

(6) 以上によると、平成二年課税期間に係る消費税更正処分(ただし、平成八年三月二七日付裁決により一部取消後のもの。以下同じ)は、適法というべきである。

(二) 過少申告加算税について

原告は、平成二年課税期間に係る消費税更正処分により、申告納税額のほかに新たに税額を納付すべきこととなるから、被告がその増差額について国税通則法六五条により過少申告加算税を賦課決定したこと(ただし、過少申告加算税の額は、右の裁決により一部取消後の金額になる。)には、違法はない。

3  平成三年課税期間に係る消費税更正処分及び過少申告加算税の賦課決定について

(一) 平成三年課税期間の消費税は、平成二年課税期間と同様、原告の申告に基づく課税売上金額(税込)に次の課税売上金額(税込)を加算、減算して、課税売上金額(税込)を計算し、それを基として課税標準額及び納付すべき税額を算定すべきである。

(1) 本件企業体に係る課税売上金額(税込)

(ア) 本件企業体の課税売上金額の六分の一に相当する金額は、原告の消費税にかかる課税売上金額(税込)として加算すべきであること等は、2(一)(1)(ア)のとおりである。

そして、証拠(乙一二)及び弁論の全趣旨によれば、平成三年一〇月報告は、平成元年一月一日から平成三年一〇月三一日までの累計額でされているから、これから平成二年五月報告の累計額(平成二年五月三一日まで)を減算すれば、本件企業体に係る課税売上金額を算定できることになる。

(イ) 第二の二2(二)、(五)の事実及び証拠(乙九、一二)によれば、平成三年一〇月報告の累計額から平成二年五月報告の累計額を控除した本件企業体の課税売上(税込)は、別表三のとおり、造園工事売上高が九億六二三三万四七三五円、植木売上が二億一五九二万八四四一円、センチュリーメンテナンス造園売上高が一億七一七九万六三九二円、雑収入が一一七二万七五六六円、消費税雑収入(仮受消費税)が三四〇四万九五五八円となることが認められ、原告が税込経理方式によっていることは既にみたとおりであるから、これらの合計額一三億九五八三万六六九二円の六分の一に相当する金額である二億三二六三万九四四八円が原告に帰属することになる。

(ウ) 他方、原告は、平成三年課税期間に本件企業体への課税売上として合計五〇〇〇万円を計上している(第二の二2(三)ないし(五))から、これを控除した一億八二六三万九四四八円を原告の本件企業体に係る課税売上金額(税込)として加算すべきことになる。

(2) 消費税雑収入の課税売上金額(税込)

証拠(乙六)によれば、原告は、平成三年一一月期の法人税の確定申告書に添付した貸借対照表に仮受消費税として九八三万八四八五円を計上していることが認められるが、原告は、税込経理方式に依っているのであるから、右の仮受消費税は課税売上金額(税込)に加算すべきものである。

(3) 内部取引による課税売上金額(税込)

証拠(甲一、一七、乙三)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、平成三年課税期間に本件企業体への売上金額(税込)として一七〇三万九二六八円を計上していることが認められるから、前記2(一)(3)と同様、その六分の一である二八三万九八七八円は原告に帰属するものであり、内部取引として原告の売上金額(税込)から控除すべきである。

(4) 課税売上金額(税込)

証拠(乙七)によれば、原告は、消費税の確定申告書に課税売上高として三億六五二五万四一三二円を計上していることが認められるから、これに一〇〇分の一〇三を乗じた金額(三億七六二一万一七五五円)に、本件企業体に係る課税売上金額(税込。(1))と消費税雑収入の課税売上金額(税込。(2))を加算し、内部取引による課税売上金額(税込。(3))を減算すると、原告の平成三年課税期間の課税売上金額(税込)は、五億六五八四万九八一〇円となる。

(5) 課税標準額及び納付すべき税額

平成三年課税期間の課税標準額は、右(4)の課税売上金額(税込)五億六五八四万九八一〇円に一〇三分の一〇〇を乗じて算定した五億四九三六万八〇〇〇円となり、簡易課税制度を適用して、2(一)(5)と同様の方法で、原告の納付すべき消費税額を計算すると、三二九万六二〇〇円となる。

(6) 以上によると、平成三年課税期間に係る消費税更正処分は、適法というべきである。

(二) 過少申告加算税について

原告は、平成二年課税期間に係る消費税更正処分により、申告納税額のほかに新たに税額を納付すべきこととなるから、被告がその増差額について国税通則法六五条により過少申告加算税を賦課決定したことには、違法はない。

第四結論

以上の認定及び判断によれば、本件更正処分等はいずれも適法であるということができるから、原告の本訴請求は理由がないことに帰する。

よって、原告の請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 山口幸雄 裁判官 神山隆一 裁判官 内山孝一)

別紙

〈2〉の算出方法

〈省略〉

・右益金合計額-損金合計額=5億1533万5525円

・原告の利益金額としてその益金に加算すべき金額

5億1533万5525円÷6-4000万円(原告の申告に係る計上額)=4588万9254円

〈3〉について

原告は、貸借対照表に仮受消費税として記載した金額を翌期の損益収支報告書において営業外収益として計上しているから、税込経理方式を選択しているものと解される。右方式を選択している法人が納付すべき税額は、納税申告書が提出された日の属する事業年度の損金の額に算入すべきである。

したがって、原告が、平成2年11月期の貸借対照表に仮受消費税として記載し、翌期の損益収支報告書に益金として計上した779万5016円は平成2年11月期の益金として計上すべきである。

〈4〉について

原告は、寄附金20万円のうち8万3053円を損金不算入としているが、全額算入すべきである。

別表一 寄付金の損益不算入額の計算

〈省略〉

別表二 同族会社の課税留保金額に対する税額

〈省略〉

別表三 平成三年課税期間の本件企業体にかかる課税売上金額(税込)

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例